おうちかいだん
「うおーい、ミサちゃん。学校に行く時間じゃぞ。まだ準備しとるのか?」
いつも時間になるとおじいちゃんが教えてくれる。
階段を上がって、三面鏡の前に座っている私を見て、おじいちゃんが目をまん丸にして驚いたような表情を見せた。
「うん、わかってるよ。じゃあ行ってくるね」
おじいちゃんと鏡の中の私にそう言い、立ち上がると私はおじいちゃんの横を通り過ぎて部屋を出た。
「お、おお……ミサちゃん。今日は一段とべっぴんさんじゃのう」
「へへ。ありがとうおじいちゃん」
鏡の中の私に言われる通りにメイクをしたら、おじいちゃんにまで褒められた。
身内に褒められるのは照れくさいけど、悪い気はしないよね。
そして、学校でも友達に褒められて、男の子からの視線も感じるようになった。
鏡の中の私の言う通りにしただけで、こんなにも変わるなんて。
もっと早くにあの三面鏡を使っていれば、もっと楽しい毎日になっていたかもしれないな。
ほんの少しのことで世界は変わって見える。
周りが変わったわけじゃない。
私が変わって、それで周りの見る目が変わったんだと気付いたよ。