おうちかいだん
「おお……ミサちゃん。なんて美しいんじゃあ。何年経っても変わらないその美しさ、ワシは嬉しい」


部屋の入り口のおじいちゃんは、私を見て嬉しそうにそんなことを言っている。


鏡の中では今、大変なことが起こっているのに、こっちは穏やかそのもので、おじいちゃんが私を褒めてくれていてなんだかむず痒い。


「リサ! 私は逃げるから! いい? 絶対に気付かれないで! 気付かれてしまったら、私もリサも終わりだからね!」


「え、ちょっと……ミサ!?」


何のことかさっぱりわからないけど、鏡の中のミサは、鏡に映る不気味な女の人から逃げるように、部屋を出て行った。


気付かれないでって……どういうこと?


何がなんだかわからないまま、ミサが出て行った部屋の入り口を見ていると……。


「ミサちゃんミサちゃん。ああ、なんて美しい。ワシは幸せじゃあ」


いつの間にか背後にいたおじいちゃんが、後ろから私を抱き締めて、頭に頬ずりをしてきたのだ。


可愛がってくれるのは嬉しいけど……これは少し行き過ぎな気がしてしまう。


「お、おじいちゃん? ちょっと……何して……は、離れてよ」


ミサがいなくなった鏡の中のおじいちゃんは、何もない空間を抱き締めて頬ずりしている。


その光景は……なんとも言えず不気味なものだった。
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