おうちかいだん
わけがわからない。


急に私に抱きついたり、顔を舐めたり。


もしかして、鏡の中でおかしなことが起こっているみたいに、こっちでもおかしなことが?


ミサが言っていた、気付かれないでという言葉が気になるけど……今はそれどころじゃない!


「あ、あいたた……はっ! ミサちゃん……? いや、ミサちゃんじゃがミサちゃんの方か……いかんいかん。ワシは可愛いミサちゃんに何をしようとしとったんじゃ」


ホウキを構える私を見て、我に返ったかのように呟くおじいちゃんに、私は首を傾げた。


ミサちゃんミサちゃんって、一体何のことを言っているのか私にもわからなくなる。


「おじいちゃん! もう私に抱きつかない!? 次やったらぶつからね!」


「す、すまんすまん。ミサちゃんがミサちゃんに見えたんじゃ」


私が私に見えるのは当然じゃない。


最近何か様子がおかしいと思っていたけど、とうとうおじいちゃん、きちゃったのかな。


頭をポリポリと掻きながら、不思議そうに首を傾げて立ち上がったおじいちゃん。


それでも私はホウキを向けたまま、部屋を出て行くまでずっとおじいちゃんを睨み続けていた。
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