おうちかいだん
諦めてしまえば大したことはないし、この後またトイレに行きたくなってももう大丈夫だと思えるけど、何だか人として大切なものを失ったような気がする。


それに……お漏らしが、というわけではないけど、気持ちよかったのは確かだったから。


「お前は……私じゃない」


本当にこんなの私じゃないよ。


お漏らしなんて私はしないのに。


「おしっこだけじゃなく、我慢できなければしてもいいのよ? 大きい方もしてしまえば、もうリサに怖いものなんてなくなるわ」


それだけは嫌だと、首をブンブンと横に振りながら、私は声を発し続ける。


おしっこだけでもかなり精神を削り取られるのに、大きい方なんてしちゃったら……。


私は自己嫌悪に陥って、二度と立ち直れないかもしれないよ。


それにしても後どれくらいこれを続けなければならないのか。


本当に永遠に朝がやってこないんじゃないかと、不安になってしまう。


否定したい顔が、私の正面にある。


いや、右前と左前にもその顔はある。


か細い火がゆらりゆらりを揺れながら照らして、私を映しているはずなのに、私ではないものが鎮座している不快感をずっと感じながら。


私はひたすら「お前は、私じゃない」と唱え続けた。
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