エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

「あのっ」
「なんだよ。まだなにかあるのか?」

 迷惑そうな視線を投げられるが、私はめげずに彼をまっすぐ見据えた。

 これはただの意地なのか、それとも、この期に及んでまだ彼とのお見合いに甘い期待を抱いているからなのか。

 どちらにしろ、このまま引き下がるのは私のプライドが許せそうにない。

「私の料理を食べていただけませんか? そうすれば、わかってもらえるはずです。料理には人の心を動かす力があるってことが」

 司波さんは虚を突かれたように呆然とした。私がそこまで執念深いとは思わなかったようだ。

 しかし、決してぶれない私の視線を受け続けた彼は、やがて片側の口角を上げ、不敵に微笑んだ。

「いいな、受けて立ってやる。ま、お前ごときに俺の考えを変えられるとは思わないけどな」
「ありがとうございます。……って、また〝お前〟って言いましたね!?」
「ああ、悪かった。カス美、だったか?」
「なんでだろう、合っているのに悪意を感じる……」

 首を傾げて呟くと、司波さんは切れ長の目を細めてクスクス笑う。

 その笑顔が、先ほどまでの人を小ばかにした感じとは違う無邪気なものだったので、ちょっぴりドキッとしてしまった。

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