エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
それにしても、素直に『好き』って言えばいいのに。あまのじゃくなんだから……。
懇意にしている個人商店の肉屋に着くと、店先のガラスケースにはいつものように、新鮮な精肉、それにコロッケやメンチカツなどの総菜が並んでいた。
顔なじみの店主のおじさんが、私の姿に気づいて店の奥から出てくる。
「いらっしゃい、花純ちゃん。今日は千葉から新鮮な鶏モツが入ってるよ」
「ホントですか? ちょうどモツが欲しかったんです!」
なんてグッドタイミング。鶏のモツなら、牛や豚に比べてやわらかく臭みも少ない。司波さんを唸らせるのに絶好の食材だ。
「じゃ、一番美味しいところを百グラムください」
「あいよ! しかし、後ろに立ってるのは新しいアシスタントかい? ずいぶん男前だね」
お肉を包みながらおじさんが言うので、私は背後の彼を振り返る。
片手をスラックスのポケットに入れ、ぼんやり商店街の景色を眺めるアンニュイなたたずまいは、確かにまばゆいくらいのイケメンオーラを放っている。……でも。