エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 八百屋ではゴボウ、ニンジン、レンコン、ショウガ、青ネギを調達し、最後にスーパーで調味料をそろえた。料理をしない司波さんの家には、醤油すらないらしい。

 彼のマンションのある赤坂までは少し距離があるため、タクシーを拾った。

 後部座席に司波さんと並んで座ったところで、買い忘れたものがないか頭の中で確認する。

「あっ……そういえば、食器や調理器具については聞いてませんでしたけど、料理をしないならあまりお持ちではないですか?」

 食材ばかりに気を取られて、大事なことを忘れていた。醤油も常備していない彼の家に、ひと通りの調理器具や食器があるとは思えない。

「それなら心配ない。実家を出る時、料理好きの母親に一式持たされたんだ。俺は料理をしないと言っているのに、『彼女に作ってもらえばいいじゃない』と強引に段ボールに詰められた」

 司波さんのお母様って料理好きなんだ。なのに、どうして料理に関してこんなひねくれた考えを持つ息子に育ってしまったのかな。……ま、私には関係ないけど。

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