エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「なるほど。じゃ、大丈夫ですね。こんな性格の悪い司波さんに料理をしてくれる彼女がいるかどうかは別として」
「こんな俺と見合いする以外、男に縁がなかったお前に言われたくない」
「……ああ言えばこう言う」
「先にケンカを売ったのはそっちだろうが」
どうも私たちは、口を開けば険悪なムードになるらしい。お互いにそれを察して、それからマンションに着くまでの十数分は、沈黙を保った。
ゆるやかな坂を上った高台に、そのタワーマンションはそびえていた。司波さんによると地上二十六階建てで、彼の部屋は二十四階だそう。
周辺は緑化された公園になっていて、ピンク色のハナミズキの花が見ごろを迎えていた。
「都会的なのに緑もあっていいところですね。自分が一戸建ての実家住まいだから、こんなマンション憧れちゃいます」
エントランスの前でタクシーを降り、思わずうっとりと呟いた。我が家は都心から少し離れた世田谷区の住宅街にあるため、同じ東京でもこの辺りとは少し雰囲気が違う。