エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「お先にどうぞ」
「う、うん」
悶々としながらも、路上で待つタクシーに乗り、隣に伏見くんが座る。運転手に行き先を告げる彼を横目に、私はバッグからスマホを出した。
【パーティーは無事に終わりました。今ホテルに向かっているのですが、実は時成さんに謝らなくてはいけないことが】
「花純さん、さっきはありがとうございました」
時成さんにメッセージを打つ途中で伏見くんが話しかけてきたので、私は一旦親指の動きを止めた。
スマホから視線を上げ、彼を見る。目が合った伏見くんは少しはにかんで、伏し目がちに話しだした。
「泉先生にズバッとと図星突かれて、正直ショックでしたよ。自分が逃げてるだけの臆病者だったって思い知らされた感じで。でも、その後で花純さんが掛けてくれた言葉に、心から救われました。花純さんは本当に、最高の師匠です」
そこまで褒めるのは大げさだなと思いつつ、私は微笑む。
「私は、伏見くんがいつも頑張っているのを知っているから、当たり前のことを言っただけ」
「またそうやって俺を喜ばせる。ねえ、花純さん。これ以上好きにさせないでくださいよ」
「えっ?」