エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
素敵なホテルですねと時成さんに話しかけたいが、彼の横顔は完全に不機嫌。感動を分かち合えないまま、ふたりでフロントへ向かった。
宿泊人数が変わることを相談したら、運よくダブルルームに空きがあったので、追加料金を払い部屋を変更してもらった。
ベルスタッフに案内された部屋は一階。畳に低い木製のベッドが置かれた和モダンな部屋だった。障子を開けた窓越しに、ライトアップされた日本庭園が見える。
「ごゆっくりお寛ぎください」
そう言ってベルスタッフが去っっていくと、窓際にいた私のもとに、時成さんがゆっくり近づいてきた。
私も彼の方に向き直り、まずはとにかく謝りたくて、勢いよく頭を下げる。
「ごめんなさい! 伏見くんが一緒に行くことになったと、ご報告していなくて……」
「頭を上げろ。どうせ、お前が仕事中になにげなく新幹線の時間とか話してるのを聞いてたアイツが、勝手に色々画策してくっついてきただけなんだろ。お前は嘘をつくようなヤツじゃない」
「時成さん……」