エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「今、なにをしてるんだ?」
「モツの臭みを取る下ごしらえです」
「へえ……。肉を水洗いしているところなんて、初めて見た」
興味深そうにジッと私の作業を見つめる司波さん。少しでも料理に関心を持ってくれたならうれしいけど、そんなに見られたら緊張してしまう。
「あ、あのう、司波さんはどうぞくつろいでいてください。見られているとやりにくいです」
「料理研究家なのにか? テレビに映ることもあるんだろう?」
「ああいう時は自然とスイッチが入るので大丈夫なんです。でも、その……個人的に、ひとりの男性に向けて料理を作るというのが、初めてなもので」
とはいえ、別に司波さんは恋人でもなんでもないんだけど……。
「ふうん、わかった。その代わりうまくできなかった時、俺のせいにするなよ」
「わかってます」
挑発するようなセリフにムッとして、つっけんどんに返事をした。
司波さんは私のもとを離れ、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すと、リビングに移動してソファに腰を落ち着ける。