エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 ……ふう。これで落ち着いて作業ができる。私は気を取り直し、今度は野菜の下ごしらえを始めた。

 作ろうとしているのは、シンプルなとりモツの煮込み。

 お疲れの司波さんに、鉄分たっぷりのモツ、代謝のよくなる根菜類を、ホッとする味つけで食べてもらいたい。口を開けば悪態をつくのも、疲れているせいかもしれないし。

 ま、性格がひねくれているだけの可能性もあるけど。

 コクを出すために野菜は先に油で炒め、モツを入れたらひたひたのお水と酒を加え、落し蓋をしてじっくりと弱火で煮る。

 野菜が柔らかくなったら、砂糖と醤油を入れて、煮汁が少なくなるまでコトコト煮込めば完成だ。

 作業が一段落したところで、ふとリビングの司波さんを見る。

 長い足を組んでソファに座り、文庫本を読んでいる。……ように見えるけど、あれ? もしかして。

 そうっとキッチンを出て彼の元まで近づくと目は閉じられていて、きりっとした寝顔ながらもこっくりこっくり、舟をこいでいた。

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