エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 二十分ほど煮たところで頃合いになったので、火を止める。と、同時にソファで寝ていた司波さんがハッと目を覚ました。

 ぼんやりした瞳で辺りを見回し、はずみで肩から落ちたブランケットを掴んで不思議そうな顔をしている。まさか、私がいることを忘れてないでしょうね?

「おはようございます、司波さん。お料理ができましたよ」
「……ああ、ちょうどいい。ひと眠りしたら腹が減った」

 ソファから立ち上がった彼は、気だるそうに凝った首を鳴らしダイニングにやってくる。

 そして椅子に座った彼を横目に、私は煮物を器に盛り付け最後に青ネギを散らした。

「ティーラウンジではなにも召し上がらなかったですもんね。でも、私にとってはありがたいです。空腹はなによりのスパイスですから」

 話しながら、彼の前に箸とコップに入れた水を用意する。再びキッチンに引っ込むと、主役の煮物をお盆にのせた。

「たとえ腹が減っていても、俺はまずいものはまずいと言うぞ」
「望むところです。さあどうぞ」

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