エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
司波さんの目を見ずに言い、テーブルから素早く食器を回収してキッチンに運ぶ。
「お見合いも失敗。料理も気に入ってもらえなかった。こんな私がどうして〝お嫁さんにしたい有名人ナンバーワン〟なんでしょうかねえ」
シンクで洗い物を始めながら、思わず自嘲した。
司波さんからのフォローをちょっぴり期待したけれど、彼は無言で水のコップに口を付けている。ああそうですよね。あなたは優しい言葉をかけるタイプじゃないですよね。
……もう、恋人は料理なんですと開き直って仕事に生きるしかないのかな。
覚悟を決めて望んだ人生初のお見合いは、コンプレックスを克服するどころか、ますます自己肯定感が下がっただけ。
結婚に憧れはあるけれど、こんな思いをするならひとりでいる方が気楽だ。
ため息をつきながら洗い物を終え、ダイニングでエプロンを外してバッグに入れる。帰り支度が済むと、椅子に座ったままの司波さんにぺこりと頭を下げた。
「お邪魔しました」