エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
再度ぺこっと頭を下げているうちに、司波さんは小さな丸テーブルを挟んで向かい合わせにある、一人掛けソファに腰を下ろす。
私もしずしずと座り直すと、司波さんがウエイターを呼び「予約していたアフタヌーンティーを」と注文する。落ち着いた声やスマートな動作は、父の話どおり紳士的だ。
ウエイターが席を離れていき、私と司波さんの間に沈黙が落ちる。なにか話さなければと思うものの、ついさっき失敗をやらかしたせいか、喉がギュッと狭くなっていて声が出せない。
「で、本題だが」
司波さんの鋭い瞳が、不意にこちらに向けられる。ただ目が合っただけなのに、一瞬にして体温が上がって、心臓がバクバクした。
「ほ、本題……と言いますと?」
「結婚のことに決まっているだろう。榛名先生には世話になったからこうして見合いには来たが、俺はそもそも結婚なんてステータスのひとつにしか思っていないから、相手は誰でもいいんだ。だから、そっちが嫌ならすぐに断ってくれ。時間が無駄になる」
ものすごく面倒くさそうにそう説明した彼は、長い脚を組んでため息をついた。