エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 翌日、昼間は自宅で仕事。夜は自らが講師となる料理教室があった。

 司波さんとお見合いをしたホテルからもほど近い六本木のキッチンスタジオを借り、週三回、一コマ九十分の授業をしている。

 火曜日の今日は、今年度から始めたばかりの男性限定クラス。女性と一緒では緊張したり遠慮したりしてしまう男性が少なくないので、意外と人気が高い。

 ちなみに、今回の授業テーマは『大切な人に作ってあげたいお弁当』だ。

「恋人や旦那様にお弁当を作ってもらえたら感激ですよね~。今日の生徒さんたちの奥様や彼女は幸せだな。あっ、そういえば、花純さんはどうだったんですか? お見合い」

 夕方、授業に必要な材料の計量や器具の準備をしていると、アシスタントのひとりである小倉紗耶香(おぐらさやか)ちゃんが言った。

 小柄で、丸みを帯びたボブヘアがかわいらしい二十五歳の彼女は、私の下で働くようになって早一年。料理の勘も確かだし、真面目で気配り上手な性格にいつも助けられている。

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