エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
支払う給与のこともあるし、正直なところ、アシスタントは紗耶香ちゃんひとりで十分。
そう言って一度は彼の申し出を断ったのだが、伏見くんは『花純さんの弟子になれるなら、無給で構いません』と土下座までしてきた。
その熱意に負け彼を採用することに決めたのだが、いざ一緒に働いてみると、思っていた以上に彼は料理の勘が鋭かった。
また常に調理を科学的に考察しているため、作業を能率化するのが得意。まだ一緒に働き始めてひと月弱だが、紗耶香ちゃんとはタイプの違うアシスタントとして日々成長している。
「それは大丈夫。ちゃんと私の意思で決めたから。ただ……」
「ただ?」
伏見くんに先を促され、私はお見合いの顛末を話した。司波さんの俺様な言動には、ちょっと脚色を加えたモノマネつきで。
「なるほど。私、花純さんの気持ちわかるな~。そんなふうに仕事を蔑ろにされたままじゃ、引き下がれませんよね」
「でしょ? だから意地になってると言われたら否定はできないんだけど。その反面、彼自身が気になってる自分も少なからずいて」