エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「別に俺はそういうつもりじゃ……っ」
少し声のトーンを上げて反論した伏見くん。その手元が若干狂って、大さじで計量していた三温糖を台に少しこぼした。
「動揺しすぎ」
冷笑を浮かべた紗耶香ちゃんに指摘され、伏見くんはぐむむ、と唇を噛んで悔しそうにしながらも作業に戻った。
実はこのふたり、私のアシスタントとしてのライバル心からなのか、ケンカが多い。ふたりきりにしておくと時々険悪なムードになるので、慌てて仲裁に入ることもしばしばだ。
でも、そういえば私と司波さんも、口を開けばこんなふうに言い合っているっけ。
だからって本気で罵り合ってるわけじゃなく、それが一種のコミュニケーションになっているだけなんだけど。
このふたりも、ケンカを楽しんでいるふしがあるんだとしたら心配ないか。
「ふたりともケンカするほど仲が良くて、師匠はうれしいよ!」
ニコニコしながら、両脇にいるふたりの肩にポンと手を置く。