エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 柳澤さん、財務省の職員だったのか……。

 ゆるパーマをセンター分けにした髪形や、どこかチャラい印象の笑顔。『花純ちゃんじゃなくて先生と呼んでください』といつも注意しているのにまったく直す気がない適当な性格から、公務員だとは想像もできなかった。

 彼と司波さんが同僚だとは意外な偶然だが、司波さんが料理教室に参加する件に関しては決して迷惑ではない。

 むしろ、私の料理を深く知ってもらういい機会だ。教室は基本的に生徒以外は入れないが、入会希望者には無料で見学や体験をしてもらっているので、その枠で参加していることにすれば問題ないだろう。

「入会希望の生徒ってことにします。それなら、柳澤さんと一緒に料理にも参加できますし」
「いや、別に俺は参加したいわけじゃ」
「アシスタントに、予備の食材とエプロンを用意させますね!」

 司波さんなら絶対嫌がるだろうと思ったけれど、私は強引に話を進めて先に教室に戻った。

 近くにいた紗耶香ちゃんに体験者用の使い捨てエプロンの用意を頼み、少し遅れて不機嫌そうに教室に戻ってきた司波さんに渡してもらう。

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