エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

「仕事ですから。怖い顔の先生なんて嫌じゃないですか」
「でも、俺の前ではあんな風に笑わない」
「それは司波さんが私を怒らせるようなことばかり言うから」

 つい本音をこぼすと、不満そうに口を尖らせた司波さんに、じろりと睨まれる。

 もう、どうしたら機嫌を直してくれるの?

 困り果てる私を見て、司波さんは苛立ちを落ち着かせるように大きく息をつく。

「とにかく話がしたいから、待ってる。そんなに長くかからないだろ?」
「わかりました。こんなところで待たせるのは悪いので、中にどうぞ」
「遠慮する。キッチンを見ると、授業中のあまりに不甲斐なかった自分の姿を思い出しそうだ」

 ばつが悪そうにそう語った彼に、思わずクスッと笑ってしまう。

 いつもなら隙のないエリートであるはずの彼が料理と格闘する姿は、確かに少し不格好だった。

 でもそんな自分を『不甲斐なかった』と認めるなんて、初対面の時と比べたら、だいぶ進歩したんじゃない?

「あっ。今私、笑ってましたよ!」

 パッと挙手して自己申告するが、司波さんはふんと顔を背ける。

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