エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「笑われるのは嬉しくない」
「もう、ワガママなんだから。じゃ、急いで終わらせて来るので待っててくださいね。司波さんの方から『話したい』と言ってくれるなんて、実はうれしいんですから」
「……そうか」
ようやく表情をやわらげてくれた彼にホッとして、教室へ戻る。すると伏見くんもノートを書き終えたらしく、リュックを背負って帰ろうとしているところだった。
「花純さん。ノート、そこに置いておきました」
「ありがとう。伏見くんもお疲れさま」
「あの」
ちょうどすれ違ったところで、伏見くんが私を呼び止める。
「なあに?」
「……いえ、すみません。やっぱりなんでもないです。失礼します」
伏見くんは早口で言うと、ペコッと頭を下げて足早に教室を出て行った。
どうしたのかな。なにか話したいことがあるように見えたけど……。
少し気になったが、司波さんを待たせているので深く考えている暇はない。伏見くんのノートを回収し、あとの仕事は家で済ませようと決め教室を出る。