【完】黒薔薇の渇愛
「まだ震えてるね。
俺が居なくなったら天音ちゃん、この場から動けなくなっちゃいそう。」
桜木に言われて気づいた。
指先が自分の意思とは関係なしに、震えている。
昨日のこと、今日のこと。
正直桜木が居なきゃ、昨日も今もひどめに合っていたに違いない。
わかってる、ワガママだって。
桜木とは違う学校で、もう行かなきゃ間に合わない時間帯なのに。
引き留めたがってる自分がいる。
この人がいなきゃ怖い。
怖いけど……やっぱり、ワガママは言ってられない。
「ねぇ、天音ちゃん。昨日とは違った魔法、かけてあげる」
「ーーへっ」
フワッと、近づいた彼の顔と匂いが、視界の横を通る。
「君を傷つける奴は、俺が許さないから安心してネ。
だいじょーぶ……怖いことなんて何にもないよ。
なんにも……ね?」
耳元で囁かれたその言葉が、じわりと目頭を熱くさせる。