【完】黒薔薇の渇愛
私はすぐに桜木の胸板を押して、胸の鼓動を聞かれないように離れた。
「ちっ、近いよ!」
「えー、いいじゃんこのくらい。
耳弱いよね、どんな反応するか気になるから噛んでもいー?」
「ダメに決まってるじゃん!」
「ははー、それでこそ天音ちゃん。
俺にそんな口聞けるなら、もうなにも怖くないでしょ」
言いながら、桜木が一歩前に足をだす。
「あっ……」と小さな声がでる。
ひとりで教室の行くのが心細いとか
昨日のことがまだ怖いとかそんなんじゃなくて。
ただ純粋に、彼が私から離れてしまうのを寂しく思ったの。
くるりと振り向く桜木の整った顔に、ドキッとする。
「帰り、暇だったら迎えにきてあげっから。
俺の番号がはいってるその携帯、握りしめとくよーに」
「暇だったらって……桜木が来るかも分かんないのに、学校で待ってろってこと?」
「天音ちゃんの学校が終わった瞬間に、俺から連絡なかったら先帰ってどうぞ。
夜道を歩くのは、女の子は危ないからね~」
「一応……私のこと女の子として見てるんだ」
「はぁー?あったりまえじゃーん。
じゃなきゃキスなんかしないでしょ」
「……っ!?」
「俺が君を守りたいと思うのは、君が女の子だからだよ天音ちゃん」
「……」
「そんじゃーね。」