【完】黒薔薇の渇愛
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桜木の優しさを身体に残したまま、教室へ行き、授業が始まる合図がなるまでは
大きな石のように自分の席から離れなかった。
じろじろとれみ子達から見られていることは知ってる……。
でも無視しなきゃ、なにされるか、なにを言われるか分かんないから。
このまま放課後まで何事もなければいいんだけど……。
そんな私の淡い期待を裏切るかの様に鳴った数回目の学校のチャイム。
放課後に近づいたお昼休みにれみ子は動いた。
「面貸せよ」
黙々とひとりで食べていたお弁当箱を片付けている最中。
取り巻きを連れずに、れみ子は鬼の形相で私の席の前に立って、人目も気にせずドス声をあげる。
……怖い。
けど、大丈夫。
桜木が勇気をくれたから。
いつでも助けを求めていいって言ったから。
ここに桜木がいなくても。
桜木かはもらった優しさは、心強い。
「やっ……」
「……はあ?」
「や、だ」