【完】黒薔薇の渇愛
せめてもの抵抗だと、自分の唇を噛んで男の手の感触を紛らわせる。
目を瞑って、息を殺して、行き場のない恐怖は胸に秘められず涙を流した。
その時。
ーーバンッ!!と、大音量で流れるBGMの音を上回る、破裂音にも似た音がビクッと私たちの身体を強張らせる。
全員で音がしたドアの方を一斉に向く。
すると、壊れそうな勢いで開いたドアの前に
なぜか桜木が立っていて
今まで見たことない憎悪の塊を宿らせた様な目で私たちを見ていた。
「殺しちゃお」
そう言って桜木は、私に乗っかっている男の元へ一直線にやってくると
髪の毛を掴み、無理やり桜木と目を合わさせ、勢いよく殴った。
ーーバキッ
鈍い音が鳴り響く。
全員の血の気が引いたような、恐怖で一体感ある空気に包まれる。
鈍い音は目の前で続いてる。
白目を向いて気絶してる金髪男を、そのまま捨てると。
桜木は無言でソファに座る男たちの元へ行き、容赦なく殴った。
「やっ……すみませ、桜木さん」
頬が膨れ上がった男が情けない顔で、許しを乞う。
だけど桜木は無表情で目の奥を曇らせている。