【完】黒薔薇の渇愛
「天音ちゃん……」
近づいてくる桜木の手が、私を襲おうとした男の手と重なって見えて。
「やっ……!」と、思わず払い除けてしまった。
違う……。
桜木は私のこと助けにきてくれたのに。
私を守ってくれたのに。
なんでだろう。
……暴力を振るう桜木を見て、一番怯えてたのは
守られている私だった。
「……天音ちゃん」
桜木の悲しそうな声に、ズキリと胸が痛む。
それでも私は、返事をすることができない。
「ごめん……巻き込んで」
「……」
「俺のせいだって分かってるんだけど」
「……」
「ごめん、もう限界」
「ーーへっ?」