【完】黒薔薇の渇愛
次の瞬間、桜木は私に抱きついてきた。
冷えた私に体温を流し込む様な
感じていた恐怖から逃す様に、押し付けられた桜木の体が目の前を真っ暗にする。
なにも見えないから、怖かった思いが一気に溢れて。
私は桜木の胸でわんわんと子供みたいに泣きじゃくった。
「怖い思いさせたね、……ごめん」
「……っ、」
「天音ちゃんが暴力嫌いなの知ってるけど。
君のこんな姿見て、冷静でいられるほど俺も大人じゃない」
「……」
「分かってほしいなんて……らしくないこと言わない。
でも君が誰かのものになる前に、助けられてよかったと思ってる……。
いや、全然よくは……ないけど。」
「……」
「なんだろう。ダメだ、言葉に表せられない」
「……さくら、ぎ」
「死ぬかと思った」
「……っ」