【完】黒薔薇の渇愛
スッと立ち上がった桜木は、「おいっちにー」と急にストレッチを始める。
今さっきまで真剣だったくせに
なんで急にふざけだした……?と、私も奏子も桜木の行動にポカンと口を開けながら、拍子抜けしてしまう。
だけど。
「ーーッ!?」
桜木がサッカーボールを蹴る様な体勢をとり始めた。
風を纏った様な素早さで桜木が足先を後ろに向けた瞬間、奏子は目を瞑る。
「やめっ……!!」
反射的に動き出した体は、床に無数存在した砂によって体勢を崩される。
ビタン!と、どこまでも格好がつかない私は、容赦なく転んだけど。
すぐに床に膝をつけ、グッと桜木の長い脚にしがみついた。
そんな私を見て桜木は、またも「はあ?」と呆気にとられている。