俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「それは、そうと。大丈夫だったんか?にーちゃん」
「え?」
そう訊ねる美奈人は、抱っこしているびわたんをあやすように横にゆらゆらと揺れていた。
すげえ違和感…。
「え?って。リグ・ヴェーダに襲われそうになってたろ。【夢殿】の橘伶士殿?」
「それは大丈夫だけど…え?知ってたのか?」
「え?が多いな。わはは。橘社長の次男さんが【夢殿】継承してるっつー話は、仲間内では周知されとる。…リグ・ヴェーダが来たってのも咲ちゃんが『変な人来た!』って、こっそり奥に来て教えてくれた」
な?と話を振られた咲哉さんは、神妙な顔で頷いている。
「ひょっとしたらと思って、伶士くんたちが向こうのテーブルに行った後、奥にいるオーナーを呼んできたんだ。まさかとは思ったけど…だって、伶士くんは忠晴さんとの待ち合わせにしかここを使わないでしょ…だから」
怪しい者が来た。様子がおかしいということは、咲哉さんも察知していたのか。それを刺激しないよう、敢えて素知らぬ振りをして…。
「なんだか、本当すみません…」
そこまで気を遣わせて巻き込んで申し訳なく思い、頭を下げてしまった。