俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「伶士さま、なずなさんと上手くいってるようですね?」
「………」
忠晴は運転しながら、ほんのり笑みを浮かべているようだ。
やめい。照れる。
「お迎えが遅くなってしまってすみません。春子との話し合いが長引いた上に、春子の車にトラブルがありまして。本当に申し訳ありません」
そういえば。
一悶着あったから気にしなかったけど、忠晴、待ち合わせの時間から遥かに遅れての登場だった。
「…いや、いいけど。春子の車大丈夫なの?」
「ええ、大したことではありませんでした」
春子の車のトラブルがあったとはいえ、忠晴が時間に遅れるなんて珍しすぎる。
…実は、偶然は必然で。
初めからこうなることが仕組まれていたのでは、とも思えてしまった。
俺があんな珍しい時間にペンタグラムを訪れることも。
忠晴の遅刻も。
全ては、あの黒い翼の彼が、俺と接触を図るために仕組んだのでは。
…いや、無事解決してるから、いいのだけど。
《『正義って何?』》
彼のことを思い出すと、また考えさせられてしまう。
本当に、『正義』とは何なのか。