俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
…これに関してはいくら論争しても答えが出ないような気がする。
だって、みんながみんなそれぞれの『正義』を持っていて、それが全て同じ方向を向いているとは限らない。
所詮、それぞれの自己満足に溶けたものなのだ。
だけど…もし、黒い翼の彼が、この問いに囚われて、同じ事を他の誰かにも問いただしているのだとしたら。
答えの出ないその問答は、無限地獄のようなもので。
彼は、悪循環のループの中にいる。
枯渇した状態のまま、永遠にその答えを探し続けるのだろう。
それは、とても哀れな事だと思った。
《じゃあ、今一度君に問う。…正義とは、何か?》
…もし、あの時見た夢が、実際過去に起こったものなのだとしたら。
もし、彼の『正義』に対する疑問が、あの出来事がきっかけなのだとしたら。
あの和羅と呼ばれたサラリーマン風の青年は、彼になんて呪いを施したのだろう。
『答えがない』と、彼に割り切る事が出来るのだろうか。
いや、出来ないから今もこうして俺に問いただしているんだろうな。
考えれば考えるほど、ゾッとさせられる。
彼の今後のいく末を。