俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「伶士と一緒にいた女性は、まずあっちの人で間違いない。どこの誰かとはまだ特定出来ていないけど…」
「そうでしたか…」
そう呟いて、忠晴さんは項垂れる。ショックだったのか、深いため息をついていた。
でも、話はこれで終わりではない。容赦なく話を続けさせてもらう。
「伶士が別人のよう、っていうのは、まだ推測でしかないけど…ひょっとしたら、何かの術で操られているのかもしれない。そこは、接触してみないと何とも言えないけど」
「なんと…!」
「だけど、安心して。たぶん今日明日で命を取るとかいう話じゃ無いと思う」
「それは何故故です?」
「だって、明日洗濯物持ってこいって言われたんでしょ?ということは、少なくとも明日の朝までは伶士の身は無事。しかも、部活の練習試合にも行こうとしてるんでしょ」
「それを言われてみますと…」
そこに、奴の思惑がある。
「普通なら、捕らえたとなればその部屋から一歩も出さずに籠城するはず。なのに、敢えて外に出して普通の生活を送らせようとしてるんだ。…これは、伶士をすぐにどうこうすることはない」