俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「と、言いますと?」
「たぶん、奴の思惑には『時間』が必要なんだ。伶士を捕らえて、伶士に何かをする時間。もしくは、何かを待つ時間か…」
そこが、奴の目的。
伶士に普通の生活を送らせる、事は何も起きていないかのように。
少しでも私達に気付かれないようにするためなのか?…直ぐにバレたけどな?
『時間』をかけなければいけない、何かがあるんだ。
そうでなければ、せっかく捕らえた獲物を取り返されるというリスクを背負って、敢えて泳がせるような真似をするか?
…しかし、そこがミソといえばミソで。
その『時間』のために、我々の目前で伶士を泳がせても大丈夫という自信とやらが、向こうにもある。
罠か?
それとも、強さには相当自信がお有りか?
ならば、こっちも罠にかかったフリをして勝負に出る。
「なずなさん、私は何をどうしたら…」
「忠晴さんは、伶士の言われた通りにして。何も気付いていないかのように振る舞って?」
私の指示に驚いたのか、忠晴さんは目を大きく見開かせる。
「そ、それでいいのですか…?」
「…うん。タイミングを見て私が仕掛ける」
…動くぞ。