俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「と、言いますと?」

「たぶん、奴の思惑には『時間』が必要なんだ。伶士を捕らえて、伶士に何かをする時間。もしくは、何かを待つ時間か…」



そこが、奴の目的。

伶士に普通の生活を送らせる、事は何も起きていないかのように。

少しでも私達に気付かれないようにするためなのか?…直ぐにバレたけどな?



『時間』をかけなければいけない、何かがあるんだ。



そうでなければ、せっかく捕らえた獲物を取り返されるというリスクを背負って、敢えて泳がせるような真似をするか?

…しかし、そこがミソといえばミソで。

その『時間』のために、我々の目前で伶士を泳がせても大丈夫という自信とやらが、向こうにもある。

罠か?

それとも、強さには相当自信がお有りか?



ならば、こっちも罠にかかったフリをして勝負に出る。



「なずなさん、私は何をどうしたら…」

「忠晴さんは、伶士の言われた通りにして。何も気付いていないかのように振る舞って?」

私の指示に驚いたのか、忠晴さんは目を大きく見開かせる。

「そ、それでいいのですか…?」

「…うん。タイミングを見て私が仕掛ける」



…動くぞ。
< 192 / 541 >

この作品をシェア

pagetop