俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
けど、本当ごめん。
伶士が苦しめられていると思ったら、居ても立っても居られなかったし。
私も、苦しい。
…伶士のためではなく、自分のため?
伶士を救うだなんて、単なる言い訳だったか?だなんて、考えがあらぬ方向に行ってしまったところで、振り切るように首をブンブンと振る。
私は、ボディガード。
これは、護衛すべき主を救うため。
…でも、伶士は私の大切な人。
それを奪い返すためでもあるんだ。
さあ、今更ガタガタほざくなよ?音宮なずな?
やるからには、目的を達成する。
1101号室のドアノブに手を掛ける。
捻ると、ドアが開いた。
幾代さんの言った通り、やはり魔族に戸締りという概念はないか。
その扉を開ける前に。私は自分に軽く術をかける。
【透過術式】…バニシングだ。
姿を消して、自分の霊力を最大限に抑えて中に忍び込み、出来るだけ標的に近付くために。
…昔、小学校の授業でこれを使って鬼ごっこをしたことがある。
大学生なのになぜか総本山小学校に授業を受けに来ていた風祭は、これが下手くそで、いつも一番に捕まっていたよな。