俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「…剣軌、おまえ大丈夫か?」
女の人の声がグッと低くなる。
「…何がですか?」
「まさか、なずながあんな行動に出るとは思わなかったんだろ。…顔色悪いぞ」
「………」
え?なずなが?どうしたって…。
「指導が行き届いてなかったことに、悔いてはいますけど」
「そう言ってやるなよ、可哀想に。なずなもプレッシャーを感じていたとは思うよ。だからあんなことに…」
だから。なずながどうしたって?
だから。なずなは何処にいるんだよ。
目も十分に開かなければ、なぜか声も出ない。体も動かない。
この状況、何なのか知りたいのに。
何で俺がここで寝ているのかとか。
なずなは何処なのか。何があったのか。
知りたいのに、聞けない…!
(何なんだよ…!)
すると、突然。
またしても、目の前に顔が現れた。
また、顔を覗き込まれているようだ。
先程の金髪少女ではなく、今度は男の人だった。
髪も目も黒い…日本人?やたらと目鼻立ちが整っているお兄ちゃんだ。
「………」
その美形のお兄ちゃんは、無言で俺の顔をジッと見つめている。