俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

先の件といい、何故知らない人にこうもジッと覗き込まれるのだろうか。

まるで、珍獣でも見るかのように。



「…取り敢えず、大変なのはここからだ。『花魁女郎蜘蛛を倒した人間』として魔族から注目……って、コラ!夜叉王!寝てるヤツをちょすな!起こすな!美奈人とびわのところに行ってろっつったろが!」



すると、お兄ちゃんの顔が向こうに離れていく。



「ゆずら、これ起きてるぞ」

「…そろそろ鎮静醒める頃か。…じゃあ、剣軌、私らは行く」

「はい。わざわざありがとうございました」



そして、傍の気配が遠ざかる。

複数の足音と、ドアが開く音が聞こえて静かになっていった。



…いったい、何が起きてるんだろう。



何があったのか、全然わからない。

何でさっきから、俺は寝かされているのかも、全く。



冷静になって記憶を辿ってみる…が。

…あれ?

俺、最近、何してたっけ。

今、何時?今日は何月何日?何曜日?

わからない。全く、何もわからないのだ。

…あれ?あれ?何で?



考えれば考えるほど、疑問と不安が増していった。

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