俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

気付いたら、怒りが込み上げていて、怒鳴り、吠えまくっていた。

怒りに任せて、菩提さんに掴み掛かろうとしたところを、親父に制止される。

「何でそんなに、なずななずなと…!」

「社長、仕方ありません!これは【魅了】の反動ですから…!」

「何がなんだか、ワケわかんねえこと言ってんじゃねえよ!なずながどうしてるのか、はっきり言えぇぇっ!」

そんな邪魔する親父とも攻防になって、ベッドの上でおもいっきり暴れてしまった。

そのうち、たくさん人が集まってきて、まるで凶行犯のように抑えつけられて。

そして、俺はまたいつの間にか眠ってしまう。



…ちくしょう、何でだよ。

なずながどうしてるか、はっきり言えばいいだけの話じゃねえかよ。

トイレに行ってるだけとか、別件で今はここにいないだけとか。

ただ、そう言えばいいだけの話じゃねえかよ。

なのに『ここに居ない』『大丈夫』だなんて、何でそれしか言ってくれないんだよ。

俺はただ、今、なずながどうしてるか知りたいだけなのに。

不安で不安で仕方ないのに…。

ただ、それだけなのに…。



何でだよ…。
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