俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
だが、そんななずなの意図は、わかっている。
…恐らく、俺に負担をかけさせないようにしてるんだ。
そして、ボディガードであるそのプライドが許さない。陰陽師の仕事に誇りを持ってそうだし。
任務遂行の結果とはいえ…護衛対象に世話されるボディガードなんて、無いもんな。きっと。
だが、それは俺の意にそぐわない。
降ろしていた拳に力だって入る。
俺は、こんな時こそ。
何とかして、なずなの力になりたい。
傍にいて、護りたいのだ。
…なので、まずは忠晴からの強制連行から、逃れることを考えねばならない!
(…あっ)
そこで、思い付いたのが。
「な、なずな。おまえ、パスポート持ってる?」
「…は、はぁ?」
俺の唐突な確認に、なずなの声は裏返っていた。
「…パスポート?な、何に使うんだ?」
「ここにいたら、忠晴がやってくる。俺、強制連行される!」
「…されりゃいいじゃん」
「ダメだ!…おまえ、さっきから冷たいぞ!俺は、おまえの世話をするって決めたんだ!何度も言ってるけど、おまえを一人置いて帰らないぞ!」