俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
パスポート持ってない!…それでは、名案もただの妄想となる。
あわあわと一人で狼狽えている俺に、なずなはまたため息をついた。
そんなにため息つくと幸せ逃げるよ。
「…伶士だって昨日まで寝込んでいたんだろうが。だから忠晴さん心配してるんだよ。なのに私の世話するなんて」
「だから。俺はもう大丈夫だって言ってるたろ?」
「それに世話は要らない、大丈夫だ。この激ヤセも時間が経てばそのうち元通りになる」
「…え。そうなの?」
なずなは気怠そうに頷く。
「体内の霊力まで使っちゃって、下限より下回ってほぼ空状態なだけだから」
明らかとなった事実に拍子抜けした。そ、そうだったのか。俺はてっきり、元通りにはならないと思って…。
あ、でも川村は『前にもこういうことがあった』と言っていた。これは、一時的なものなのか?
だとしたら、俺の早合点ですか。
…だが、ここは安心するべき点ではなかったのである。
「で、でも、ヨーテリや霊が見えないって…」
「まあ…今は。霊力からっきしなもんだから日常生活はギリギリ、今は陰陽師の仕事も出来ないけど」
「な、何だって!」