俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
格上の相手に挑むとか、黒焦げになるとか、辛かったろうに、苦しくて痛かっただろうに。
なずながそんな辛い目に合っていたのに、俺は何を…!
張り裂けそうな胸の痛みを抱え、決死の思いでぶつけた問いだけど、ヤツは淡々とあっさり答えた。
「寝てましたヨ」
「へ…」
「伶士クンは、戦場となった部屋のベッドで寝てました」
「な、何だって…!」
そんな時に、おねんね…?
俺、寝てたって…!
(そ、そんな…)
告げられた事実に、この上なく愕然とする。
残念過ぎて言葉も出なかった。
操られてなずなに危害を加えた上、肝心なところでマグロのように寝てるなど、役立たずもいいところだ。
ひとつも、護れていない…。
「な、何で…」
「へ?」
「…何でこんなことに?何で…何でなずながこんな目に…だいたい、何で俺が狙われ…」
記憶が無かった最中の行いに、本日何度目かの衝撃を受けては、うわ言のように呟く。
だが、玲於奈は気を遣わないタチなのか、空気を読めないのか読まないのか、俺の質問にはあっけらかんと答えた。