俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~








(ここは…)




また、果てしのない『白』の世界だ。

そこに、一人で立たされている。



辺りを見回すが、決まって何もない。本当に『白』一色が散りばめられた世界なのだ。

まるで自由を象徴しているとも言えるのだが…ここまで何も無く自由だと、どうしていいかわからない。

ずっと立っていても何も起こらないので、取り敢えず、向いている方向に一歩踏み出してみた。



二歩、三歩。

歩みを進めると、やがて…目の前に複数の映像が俺の前を通り過ぎる。

和服姿の女性が祈りを続ける姿。

はたまた、十二単衣姿の女性と烏帽子を被った男性の言葉を交わす場面。

と、思いきや、馬に跨った鎧姿の武士が野っ原を颯爽と駆け抜け…迎え撃つ武士を切り裂き、和服の女性に手を差し伸べる場面。

歩みを進める度に、複数の映像が通り過ぎる。



『柿乃…次世代に真っ当に生きろと願うのならば、貴女がその光にならなくてはならないわ?』

『【夢殿】様…』

『でも…光を奪われたら、残された者たちは混沌とするのよ。だから、自らの命を犠牲にするなんて駄目。貴女は奪われて死んではいけないのよ?』

< 440 / 541 >

この作品をシェア

pagetop