俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「やられた部下たちが命を懸けて突き止めたテロリスト集団のアジトに一人で殴り込みに行くのよ。一人で『俺が必ずホシを挙げる!』って吠えて」
「けど、アジトはもぬけの殻で、そこには書き置きがあったわけよ。『東京の万博会場に爆弾を仕掛けた。午後二時までに捜査二課長が一人で会場に来い。さもなくば爆弾を爆発させる!』ってな。世界各国の要人も万博会場にいるから、爆発しちまったら大変なわけさ」
「これは罠だ!行くな!と、刑事部長が止めるんだけど、捜査二課長はブチギレてるから言うこと聞かないのよ。『ここで引き退るなんて刑事ではない!世界平和も大事な部下も俺自身の身も、俺が絶対に護ってみせる!』ってね。で、今度は万博会場の指定された場所へと単身殴り込み」
う、嘘っ…。
「……で?で?どうなったの?」
「おいマジか、伶士。見たいなら見逃し配信あるぞ?」
気付いたら、身を乗り出して話を聞いていた。
だって、世界平和も、大事な部下も護るんだろ?
捜査二課長は…二者択一ではなかった。
「で、結果は視聴者のお望み通りのテッパンよ。単身殴り込んで、一人でテロリストたちやっつけちゃうの」