俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「わっ。マジ?そんなんありかよ」
「捜査二課長密かにお得意の格闘技で、一人で敵をバタバタ薙ぎ倒し、発砲し放題」
「え?格闘技がお得意?そんな設定だっけ。まるで取ってつけたような…」
「捜査二課長の秘めた力だったらしいよー?…そして!会場に設置された爆弾も一人で解除しちゃった。…本当に、結局一人で世界平和も部下のプライドも…自分の身も自分で護っちゃったわけです。ホシも一人で挙げちゃいました」
「なんだその結末は。もう無双状態だなこりゃ」
「敵わねえー!捜査二課長!笑える」
「っつーか、ボディガードは必要あったのか!という話。ツッコミどころ多いなー」
「最後の決め台詞『俺は、俺の中の俺を超える!』んですって?でもまあそこはドラマだから」
現実ではあり得ない事の顛末に、みんなは笑う笑う。
だが、その笑い声に包まれながら、俺は一人。
「……」
…放心していた。
捜査二課長、あり得なさすぎ。カッコ良すぎ……ではない。
…何故、こんな簡単な事がわからなかったのだろう。
何故、俺は二つに一つで苦しんでいたんだろう。