俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
『世界平和も大事な部下も俺自身の身も、俺が絶対に護ってみせる!』
…何故、両方とも、という発想が無かったんだろう。
というか、天秤の腑に落ちない理由はこれだったのだ。
何故、どちらかしかないのか。
両方とも、という欲張りにならなかったのか。
(……)
心臓の鼓動がトクンと聞こえたような気がする。
今、ようやく動き出したといったように。
重くて上がらなかった顔も、やっと上げることの出来て開けたその視界は、いつもと違って見えた。
ようやく、前を向くことが出来るようになったのである。
(俺の中の俺を超える、か…)
そして、日常の時間は過ぎる。
枠通りの授業は淡々と終わって、部活で汗も流して。
帰りは忠晴に迎えに来てもらって。…なずなが待ってる家に早く帰りたいから。
車の中では、颯太に教えて貰った見逃しチャンネルを見ていた。
もちろん、捜査二課長70分スペシャル。
「……」
画面いっぱいの熱いアツイ捜査二課長の奮闘ぶりを、黙々と鑑賞していた。