俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
聖域…その情報もざっとではあるが、『記憶』から頭の片隅に置いてある。
要は、こいつらにとっては、忌々しく恐れる場所だ。
【夢殿】は、この場所にある力を借りて、予知夢を見るらしい。
聖域の力が目覚めては、困る…?
その理由をはじめ、奴らの企み、俺を狙う理由も全部…実は、夢の中で全て知ってしまった。
なので、質問は一切無い。しかし、問い返さず黙っていると、向こうがご親切に勝手に語り始めるのであった。
「我々には、貴方の身体が必要だ。その大量の霊力を溜め込んでおける『器』。全て魔力に変換してしまえば、あの御方の『核』に耐えることが出来る…実に、魅力的だ」
何かに取り憑かれたように、うっとりとしながら主張を展開している。
正直、ひどく不気味だ。今までお会いした強引な筋肉ダルマな魔族とは違うからだろうか。
すっかり陶酔している彼を前に、警戒を強めないわけにはいかない。
「…まさか、あの【花魁女郎蜘蛛】が、たかが人間の小娘に滅されるとは予想外だったが…そんなもの、この『器』が手に入ればただのイベントに過ぎない…」