俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
胸がズキッと痛んだ。
なずなの死闘の話だ。
けど、あんなにズタボロになって、激痩せする結果となった…そんな死闘も彼らにはただのイベントに過ぎないのか?
そんな風に捉えると、やはり彼らは俺的には許されない。
大切な人たちは、この手で。
手の届く範囲のものは、自分の手で…護るしかないのだ。
高揚気味に高らかと声をあげる彼の演説は、冷静沈着のメッキが剥がれかけているような瞬間だった。
「…我々の閣下、水晶鬼様は魔界の頂点に立つに相応しい御方。『器』を手に入れ、復活を遂げた暁には、この人間の世界を手に入れる。そして、憎き冥王軍を滅ぼした後、魔界の王となる」
自分に酔いしれている、そのギラついた目つきは、もはやどっかの世界に行った人のようだ。
あの雷帝を思い出す。違うタイプとは思っていても、結局これが魔族のニュートラルなのか。
「なので、聖域が覚醒する前にその御身を我々にお譲り下さい。…貴方にとっても光栄なことでしょう。我々の崇める閣下、水晶鬼様の一部と成れるのですから…!」