俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
そう言って、高揚しきった彼は、俺に手を差し出す。
おまえの意志で来い、と言わんばかりに。
光栄、か…?
あんたらの復活させようとしている閣下は、その冥王だかにいとも簡単にやられちゃったんでしょう?
もう、いないんだろう?…なのに、光栄とは。『核』という魔族の心臓のようなものが残されたのみでも、どれだけ崇拝しているんだか。
偶像崇拝ってやつは、実体がないモノを崇めるが故に、勝手な妄想でエスカレートする傾向があるけど、これはその良い例だろう。
…だけど、そんな茶番には付き合ってやらん。
「お断り…します」
その手は、振り払った。
黒髪の彼の目が見開かれる。表情も多少強張っているようだ。
「何を言ってるんですか…今の生活を捨てて、誰かの一部になりたいと思うわけないじゃないですか…。光栄かどうかなんて、それは貴方達の価値観でしかないでしょう…」
陶酔するのもいい加減にしてくれ。
そんなものを押し付けられて、奪われるなんてたまったものではない。