俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

「…じゃーん!この子がね!俺の妹、雨宮びわなちゃんでーす!生まれたてほやほや一ヶ月!…さあさあ、びわたんがとびきりのイケメンさんと結婚出来るように、あやかって。抱っこしてやってくだせえ!」

「………」

そのあやかり方が微妙だ。偉人が視察に訪れた先の貧しい村民みたいな。

それに、歳下なのになんかおっさんくせえな。



「さあさあイケメンさん、どーぞ」

「わっ」



だが、美奈人は自分の生まれたての妹を押し付けるかのように、乱暴に俺の腕の中に無理矢理置いていく。

ちょ、ちょっ!急に赤ちゃん手渡されても!グラグラする!フニャフニャだ。

まるで物のような扱い。そこに兄の愛はあるんすか?

(あわわわ…)

慌ててしっかりと抱き直して、腕の中に降ってきた生後一ヶ月の小さな赤ちゃんを、恐る恐る覗く。

ピンクのカバーオールを着た、まさに女の子の赤ちゃんは、うっすらと目を開け、偶然にも「うー」と声を発した。

「おー。びわたん、イケメンに抱っこされて興奮して声出ちゃってるぅー」

「………」

無責任な解釈だな。

恐らく不可抗力だろ。何も興奮してるようには見えないぞ。
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