俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「…え?」
「…『正義』の善悪を区別するとしたら、そこだと思います」
「ふーん…?」
流れと勢いで、ズバリと核心を突いてしまった。
語尾の上がった相槌を打たれて、反応にヒヤリとしていたが。
じっと見つめられたまま、何度も頷かれる。
「じゃあ、君は…『正義』は正義でも、暴力がなければ『善』で、あれば『悪』って言いたいわけ?それじゃあ、正義の鉄拳を奮う餡パンマンも『悪』だ」
「…そもそも、『正義の味方』とは偶像崇拝みたいなものでしょう。助けられた人たちが、あやかりたい人たちが感謝を込めて讃える。関係ない人にとっては、ただの喧嘩ですよ」
「面白いことを言うね?」
「でも、制裁だけで命は奪ってないじゃないですか。それに、『正義』という自己満足の主張をお互いぶつけ合うんです。大なり小なり傷付くこともあるんじゃないんですか」
「へぇ?」
「そして、傷付いた時に、じゃあ自分はどうしたら良かったのか、これからどうすれば良いのかって考えて振り返って今後に活かす方が大事だと思うんですけど」
「ふーん…」
「けど、命を奪われたら何かもかも終わりじゃないですか。振り返る余地も与えられないなんて」