俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「じゃあ、命を奪わなければ、人を傷付けてもいいっていうの?身も、心も」
「…そうじゃありませんが」
「じゃあ、何なの?」
何だかワケもわからずに…今度はこっちが流暢に喋ってしまった。自分でも言ってることがよくわからない。
しかし、息をつく間なんて与えられず。
今度は、彼の『主張』のお時間だった。
…俺たちも今、まさに『正義』をぶつけ合う論争をしているのかもしれない。
だが、何もかも無駄だったと気付くのは、これからだった。
「…僕にとっては、人間と人間の住む世界、そのものが『罪』なんだよ」
彼は再び、薄気味悪く笑みを浮かべる。
「『罪』…?」
「人間って言うのはさー?簡単に『心』を傷付けることが出来るんだよ…息をしているだけで、その口を開くだけで。再起不能になるぐらい、ズタズタにさぁ…?」
そう言って、クツクツと笑い出す。
何かを思い出しては嘲笑しているかのよう。
…まるで、自分が被害にあったかのような素振りだ。